時代を経て顔料による文様の色彩がごく淡くなった、淡茶地花入丸文様堺更紗の風呂敷です。
ずいぶんと水をくぐってきたようですが、そのわりには木綿のコンディションが良好で、手触り柔らかな気持ちの良い状態です。広幅なので、縫い継がれておりません。ほぼ正方形の形状で、角に結ばれた跡がみられますので、風呂敷に使用されていたようです。本来はもっと色彩のはっきりとした、おそらく赤茶地に濃い黄色と鮮やかな青色が用いられていた「赤地花入丸文様」の和更紗と思えるのですが、全体的にまんべんなく色彩が淡くなり、まるで最初からこの色合いだったかのような綺麗な馴染み方をしております。撮影では実際の色目がなかなか現れてくれず、うまくお伝えできておりませんが、とてもやさしい色彩になっている和更紗です。淡々としていても明るさと清潔感があり、気に入って入手いたしました。
風呂敷のご用途で、もしもこちらのサイズが大きいようでしたら、すこし小さなサイズに直していただき、残り裂で何か小品を作られても愉しいです。または、小さな包み裂に変身させたり、刀の鍔入れ等に仕立ててもよさそうです。薄手のひざ掛けにもできそうなどと、想像してしまいました。
ウェブ環境によって色味の見え方が異なるかもしれませんが、こちらの写真が実物に近い色目です。他のカットが実物の色目がなかなか表現できず、見にくくて申し訳ございません。こちらの色目をご参考にしていただけましたらと思います。実物はとてもやさしい、温かみのある色合いの和更紗です。縁に小さなシミがございます。
とても柔らかで風合いの好い木綿です。ごく淡くなった浅葱色が爽やかです。写真の右側にごく小さな小穴が見られますが、このくらいの目立たない小穴がいくつかございます。繕うほどではなく、気になるものではありません。
広幅なので縫い継がれておりません。
隅に「大」の文字が墨書されております。「大」の文字より左下のあたりにうっすらとしみがございますが、御覧いただけますでしょうか?こちらのしみも目立つものではなく、気にならない範囲のものです。しみは薄く裏に通っておりますが、裂の雰囲気を損なうものではありません。
反射してしまいうまく写真に撮れませんでしたが、裏の無地の糸味も魅力があります。
左側に小さなしみがございます。古いものですので、こちらのようなごく小さなしみはいくつか見られますが、全体的に清潔に保たれております。前の所有者がこの裂を大切に扱っていたことが伝わってまいります。裂の角には結ばれた跡があります。