紅花染めの江戸期の無地繻子地に、手描きにて可憐な花菖蒲が描かれる可愛いらしい細工物の小箱です。花の種類を杜若と迷いましたが、花弁の根もとに黄色の目型模様があるので白い花菖蒲と思います。蓋側面は江戸期の縮緬が使われております。この小箱でうれしいのは、箱の内側と底部分に江戸の千代紙が使われていることです。しかも文様が都鳥でとても可愛らしいセレクトです。流水の間に桜の花も散らされております。箱の作製はもしかすると江戸末期にかかるかもしれませんが、蓋側面の銀紙の時代が判断できず、明治の早い頃といたしました。
箱の芯はおそらく経木のようなものを使用しているように思われ、そのため入手当時は虫喰いによる小穴から木粉が落ちておりましたが清潔に丁寧に手入れをしました。小穴は複数見られますが、この時代の細工ものとしては状態の良いものと判断しております。こちらは実用できないことはありませんが、蓋の開閉で蓋をつよく持つと傷んでくると思いますので、実用よりもディスプレイや江戸の千代紙のコレクションとして、玩具もののひとつに愉しんでいただければと思います。江戸千代紙の中でもなかなか出会わない文様で、愛らしさいっぱいです。
姫だるまのような姿の小さな起き上がり小法師は、扇を持っているように見えるのですが、小法師に梅花が描かれておりますので、扇を松の図とかけているように思われます。松竹梅としているのだと思います。でも竹が無い…と思いながら暫く眺めているうちに、松をかたどって扇としているのであれば、扇の骨が「竹」となりますので、それにて松竹梅と見立てたのかもしれないと思いました。頭上に経年の傷みがありますが、古いものですのでご理解下さいませ。こちらのはっきりとした産地がわかりません。東北の方のものでしょうか。起き上がり小法師は転んでも起き上がる縁起ものです。赤色使用の意味合いも古くから厄病除けや厄除けの信仰を担い、小粒ながら昔から家々の無病息災と家内安全を守ってきました。2点セットで販売させていただきます。