よもぎ、踊子草、いぬふぐり、つくし
沈丁花、すみれ、やなぎ、はるじょおん

 

花の名は、すでに花に思える。
こうして花の名を書いてゆくと、しだいに鎮まる心。
これは、私の写経。

 

春という言葉は、草木に宿るちからが張る(ハル)ところから来ているらしく、春の名をあてたという。
奈良の春日大社で見たある鎧の耳糸の中に、すみれ色をした糸があった。
侘びて藤色近くなったうす紫色は、同じく侘びて萌黄色になった組糸の隣りで色を並べていた。ひなたの感じがした。

古裂古美術 蓮
田部浩子