横須賀美術館「PRIDE OF YOKOSUKA スカジャン展」

 

先日染織家の西川はるえさんと、横須賀美術館にて12月25日(日)まで開催の「開館15周年 PRIDE 0F YOKOSUKA スカジャン展 」に行ってまいりました。ぎりぎり間に合い、ご一緒できる日を何度か調整下さった西川さんに感謝です。

 

「横須賀ジャンパー」略して「スカジャン」をテーマとした展覧会は、公立の美術館では世界初とのこと。スカジャンはファッションアイテムとして日本のみならず世界中で根強い人気を誇っているそうで、日本の服飾史をたどる点からも、とても楽しく観てまいりました。この展覧会はテーラー東洋さん(東洋エンタープライズ株式会社様)が所蔵する貴重なヴィンテージ・スカジャン約140点を中心に展示されました。古来より吉祥とされる龍や植物などの和様の文様が、吉祥の意味合いから少しずつ離れながらも時代に受け継がれてゆくことのリアルさが展示作品から感じられました。中には小袖の文様を彷彿とさせるような、雅やかに枝を垂らす枝垂れ桜の刺繍表現もあって、生地の上の構図のバランスの良さや、どんな分野でもいいものには力があるといったことを西川さんとお話しました。手刺繍ではと思えるような作品など、職人さんのミシンの技に驚いたり、想像以上に見ごたえのある展覧会でした。

 

同じく横須賀美術館の谷内六郎館では、谷内六郎さんの初期の作品が数多く展示されていて嬉しく観てまいりました。横尾忠則さんが谷内六郎さんの大ファンでいらっしゃることは、横尾忠則編『谷内六郎の絵本歳時記』(新潮社)の解説にご自身が記されていらっしゃいますが、六郎さんの初期の作品はとても力強く、こちらの意識に迫りくるものがあって凄いです。「谷内さんの絵をジーっと見つめているといつの間にかこれがぼくの絵に見えてしまうことがあるのです。」と横尾忠則さんはこの本の中で語られています。夢をみているような作品『電気飴』も今回展示されていて、間近で観ることができてうれしく思いました。お土産に作品「夜の公衆電話」の絵葉書を。妖しいキツネが描かれています。

 

冬晴れの空の下、美術館の前庭に設置されている若林奮の彫刻作品「Valleys(2nd Stage)をお散歩しました。若林奮氏の没後20年にあたる来年は、館の所蔵品展にて素描等の作品が多数展示予定だそうです。北風の屋上からは東京湾を眺めました。行き交う貨物船をのんびり見ていることも普段にはない時間です。横須賀美術館をたっぷりと楽しみました。

 

美術館併設のイタリアンレストラン「アクアマーレ」の美味しいランチ、夕方のお茶の時間と、とても久しぶりにゆっくりした時間を過ごした一日でした。西川さん、ご一緒させていただいてとっても楽しかったです。ありがとうございました。

 

 

 

公立の美術館では世界初。

 

 

 

美術館併設のイタリアンレストラン「アクアマーレ」

 

 

 

もう早いたんぽぽが。

 

 

 

屋上から東京湾を眺める。向こう岸は千葉。

 

 

 

横須賀美術館上空の空。絵画のようでした。

 

 

 

日暮れが近くなりました。

 

 

 

谷内六郎さんのポストカード「夜の公衆電話」

 

 

 

夜の電話ボックスの中には妖しいキツネが。

 

 

2022.12.30

古裂古美術 蓮
田部浩子