2019.7

  • 九州国立博物館 館蔵名品展「更紗 生命の花咲く布」のご紹介

     

     

    九州国立博物館 館蔵名品展「更紗 生命の花咲く布」チラシ

     

    展覧会のご紹介です

     

     

    九州国立博物館  Kyushu National Museum
    館蔵名品展「更紗 生命の花咲く布」

     

    会期:2019年7月30日(火)~10月20日(日)
    会場:九州国立博物館4階 文化交流展示室 第9室

     

    〒818-0118
    福岡県大宰府市石坂4-7-2

    www.kyuhaku.jp

     

     

    16世紀後半から交易品としてオランダ船が持ち渡った文様染めの木綿布である更紗は、それまでの日本の染織品にはない多彩で色鮮やかな染め文様で異国性、装飾性に溢れ、希少で高価な舶載品は、異国への憧れをもって江戸時代の人びとに熱烈に迎えられ、流通しました。
    日本においての更紗の使われ方は、陣羽織、小袖、襦袢、茶器の仕覆、道具の包み裂、煙草入れ、袂落し等の袋物があります。インドの地で染め上げられた赤色の鮮烈な色彩と華やかな意匠を大胆に衣服に取り入れた一方で、日本独特の使われ方として、ごく小さな寸法に裁断された更紗を効果的に使用して、細部にまで日本人の美意識を反映させた美しい喫煙具入れや紙入れ等の懐中物が大切に伝え遺されております。
    時代が大きく動く中、日本にもたらされた舶載の文物が、江戸時代の人びとの心にどれほどの憧れと異国の情景を思い描かせたことかと思うとき、その時代に彼の地から遠く海を越えて持ち渡られた更紗が、21世紀の現代においても私たちを魅了し取引されていることに、何か不思議な感覚を覚えて江戸の時代と気配は今の時間の中に在り続けていることを思うのです。

     

    7月30日(火)から九州国立博物館にて開催される館蔵名品展「更紗 生命の花咲く布」では、九博が誇る更紗のコレクションから厳選された作品の数々が展示されます。長崎に入津したオランダ船の荷卸の際に、輸入反物の見分けをおこない、織物の種別と鑑定を手触りによって選別した「反物目利」(たんものめきき・その職務にあたる役人で、数名が存在していた)によって作成された、九博所蔵の貴重な「端物切本帳」も展示されます。「端物切本帳」は、持ち渡られた反物の裂が二寸ほどの小片で貼られている見本帖になり、これは反物目利が輸入品目を照合する目的で作成された以外に、後年の参考として作成したのではないかともいわれています。
    夏から秋にかけた、とても楽しみな展覧会です。
    10月20日(日)まで。

     

     

    チラシの写真
    赤地花唐草文様西洋更紗掛袱紗
    ヨーロッパ 19世紀末
    展示期間:前期7月30日~9月8日

     

    Kyushu National Museum

     

     

     

     

     

  • 文月 七月

     

     

    萌黄地荒磯文金襴断片裂 17-18世紀

     

    七月になりました。
    夏越の祓が行われた六月三十日は水無月をいただいて、今年後半の息災を願いました。水無月はこの日のお菓子であるのに、今年はことのほか美味しく感じられ、いそいそと、何度もお菓子屋さんに足を運んでしまいました。
    先月末の京都出張の折り、帰りまでに時間が空いたので、思い出して自分が初めて口にした水無月の、そのお菓子屋さんに行ってみました。夕刻で、そろそろお店も閉じる時間のはず。間に合うかなと行ってみると、水無月は白い外郎のものはすでに無く、抹茶のものだけ、ぽつんとひとつだけ残ってくれておりました。そのひとつと、味噌餡の柏餅を包んでもらい、和菓子の重さをバッグに仕舞いました。

     

    このお店で初めての水無月を買ったのは、かれこれもう三十五年も前のことです。京都に焦がれて繰り返し読んだ大村しげさんのご本で知った水無月は、当時の東京のお菓子屋さんでは、今のようにそう多くは見かけなかったというか、その頃の自分の行動範囲にあるお菓子屋さんでは、ついぞお目にかかることはありませんでした。そのため丁度六月の時期に当たった旅行先の京都で、初めて買い求めることができたという、うれしさの想い出です。今ではそう探さなくとも、東京のあちらこちらのお菓子屋さんで求めることができますが、一年の節目をつよく感じる、そして、和のものごとに急速に傾倒していった自分の時代を思い出すこの水無月は、やはり特別な食べもので、賑やかにお喋りしながらよりも、窓の外を見ながら一人静かにつつきたい、そんな想いのする、自分にとっての風物詩です。

     

    今年も後半に入りました。十月には古裂古美術 蓮、特別企画展 裂のほとりⅥ・「- 縞・格子・絣 展 -」の開催を予定しております。古い裂の魅力をお伝えできますよう、引き続きいろいろ学び、探してまいりたいと思います。
    今月もどうぞよろしくお願いいたします。