菖蒲と舞楽装束裏地白地麻布、能装束断片裂
共に江戸時代 18-19世紀

 

五月になりました。
毎年のことながら、五月の連休になると、何かひとつの節目を迎えたような気持になります。そして、あとひと月でもう一年の半分の六月になるのかと、焦る気持ちで気が急いてくるのです。そんな思いもとりあえず横に置いて、わずかな連休を愉しもう、有効に使おうと、しかし相も変わらず裂を整える作業を続けております。この連休前に、姿のよいまだ小さな山もみじを買いました。そのもみじをちゃんとした植木鉢に移し替えたり、椅子を出して外の風にあたりながらコーヒーを飲んだり、仕入れてから二年しても解く時間がなかった、とても糸味のよい浅葱の無地木綿をぱちぱちと和鋏で引き解いて洗うことができたり、あれもこれもと、盛りだくさんの連休です。
初夏の風、風薫る、蕗も煮て、本日は端午の節句なので、菖蒲酒をいただく日。室内には江戸期の幟、日本の季節の気分をささやかでも愉しむこと。これは、やはり、自分にはだいじなこと。季節にはそら豆を買って、さやをむく。そうしたことで一年を過ごすこと、そんなふうに、季節を過ごしてゆければと思います。

 

店には毎週小さなはぎれをご用意するようにしています。
五月の爽やかな気候の中、またお気軽にお出かけくださいませ。
今月もどうぞよろしくお願いいたします。