2020.10

  • 雲ひとつない秋の空の一日

     

     

    路上の落葉

     

     

    並木通りの影

     

    本日東京は終日穏やかな秋晴れの一日でした。
    風も吹いて、空は雲ひとつない、ぬけるような青空。秋の陽ざしが乾いた空気に降り注いでいました。こういう空を見ていると海に行きたくなります。長い時間、浜辺を歩きたくなります。そんなことを思いながら、店までの道のりを遠くに聞こえるヘリコプターの音を聞きながら歩いていると、街路樹の花水木の落葉がとてもきれいな色で路上に散っていたので写真を撮りました。気がつけば路上の木の影も秋らしく伸びており、よい具合に見えました。でもこちらは逆光になったのか、ほとんど真黒に。

     

    今日、褪色がみられるものの黄地の美しい江戸期の古裂を撮ろうとしていたのですが、なかなか染め色が写ってくれずに断念。また挑戦しなければです。

     

     

     

  • 茜地草花文様インド更紗をアップいたしました

     

     

    茜地草花文様インド更紗 断片裂
    18-19世紀

     

    日ごとに秋も深まる中、少しばかり蒸し暑さを感じる今週です。
    茜地草花文様インド更紗の断片裂を商品紹介にアップいたしました。茜地の赤色の発色がとても美しい一点です。よろしければ御覧下さいませ。

     

    東京・渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムでアンコール開催された「永遠のソール・ライター」展を観てからというもの、何だか赤い傘がほしくなってしまったのですが、ひとつの色でも、気に入った赤の色とはなかなか出合わないものです。赤の色は気持ちに活力をあたえてくれる色彩なので、インド更紗の特徴ある茜地の、深い赤色を眺めているととても心地よいです。一輪の赤い薔薇というのも素敵で、とくにくたびれたりした日などは帰り道に赤い薔薇を買うことがあります。山野草とまた異なる良さがあって、赤い薔薇のクラシックな雰囲気は目に心にいいものです。惹かれる赤の色です。

     

    *写真の茜地草花文様インド更紗の断片裂は御売約となりました。ありがとうございました。

     

     

     

  • 二十七周年を迎えました

     

     

    赤地草花文ヨーロッパ更紗 19世紀

     

    十月七日の本日、当店はお蔭様にて開店から二十七周年を迎えました。
    蓮の店に御来店いただき、また、古裂を通じて折々に皆様から頂く温かなお言葉に、これまでどれほど支えていただき、励ましを頂いて参りましたかわかりません。御縁を下さいました皆様に、心より深く感謝申し上げます。
    また、開店当初よりほんとうに長い間お付き合い下さり、ささやかな蓮の店のことを気に留めていて下さる皆様、この場より厚く御礼申し上げます。心より、ありがとうございます。

     

    古いものが好きという想いで、憧れていた日本民藝館のある東京・駒場に、一九九三年の十月七日に三坪の小さな蓮の店を出発させました。その後原宿、京橋、青山に移転し、ここ銀座の古いビルの二階のささやかな空間の店は、この十二月で七年目になります。どの店の時もささやかな空間で、いずれの場所も思い出深く、自分の心の中にその時々の時間と過ごした場所の風景が層になって灯っております。
    いろいろと大変な時代となり、仕事の形への模索は続くのですが、古い染織品にみられる草木からの色の深く澄んだ美しさ、江戸期の古裂の素晴らしさ、渡り裂の魅力など、古裂の愉しさを自分なりに少しでも次の世代にお伝えすることができればと願っております。
    学ばなければいけないことが多く未熟ではございますが、今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

     

     

     

  • 金木犀の季節です

     

     

    二、三日前から、辺りにうっすらと芳しい香りが漂いはじめたと思っておりましたが、今朝窓を開けると、風にのってはっきりと金木犀の花の香りが部屋の中に運ばれてきました。どこから香りが届いているのか、その木の在る場所は毎年わからないままですが、郷愁を誘う金木犀のあまい香りに、深まる秋と過ぎし時間が想われます。

     

    窓を開けると、夏の間室内にかけていた白い帆のヨットのモビールが、風に吹かれてゆっくりゆらゆら動きをみせます。金木犀の花咲く季節になりましたが、ひと気のない静かな秋の海に想いを馳せて、まだこのままかけておこうと思います。
    だいぶ涼しくなり空気も乾燥してきて、古裂のアイロンかけもしやすくなってまいりました。

     

     

     

  • 神無月 十月

     

     

    慶長裂断片 秋草文(撫子 部分)
    16~17世紀

     

    十月になりました。
    水道のお水が冷たく感じられるようになりました。
    街中ではクリスマスケーキの予約やおせちの予約といった張り紙を見かけるようになり、相も変わらず時間ばかりが早く過ぎていってしまいます。いろいろとため込んだ仕事をこつこつ片付けなければです。 自粛期間を機にホームページのリニューアル作業を進めているのですが、もう少しかかります。裂を整える作業もコトコトと進めております。

     

    今年もいつもの道端で真赤な曼珠沙華を見ました。金木犀の香りには、まだ出会っておりません。そのうちに柊の白い花が咲きだすと、季節は初冬へと移行します。辺りの自然はいつも平和で、移りゆく時を知らせてくれます。先日スノードロップの球根を見つけたので植木鉢に植えました。早春の二月頃に真白くうつむいて咲く可憐な花で、コーカサス山脈に自生していると聞きます。木枯らし一号が吹く前の、この短い秋を折々に感受しながら過ごしたいものです。
    今月もよろしくお願いいたします。