帯芯に使われていた木綿地絞り裂 江戸末~明治

 

11月になりました。
ようやく天候が落ち着いてきたようで、ここ数日の東京は秋空が続いております。
10月27日に特別企画展 裂のほとりⅥ「-縞・格子・絣 展-」を無事終了し、すぐに関西に出張、今回は奈良にも足をのばしました。奈良国立博物館の正倉院展です。大変な混みようでしたが、出陳の「七條刺納樹皮色袈裟」が拝見でき、暫し我を忘れて尊く美しい目の前の宝物を、心静かに眺めてまいりました。
久しぶりに興福寺の阿修羅像にもお目にかかりました。祈るとも、気持ちを預けるとも異なる、ただ今の時に手を合わせるような、そんな気持ちで阿修羅像を見上げ、見つめてきた今回です。時間になったので近鉄奈良駅までの下り坂をゆっくりと歩きました。普段では、ゆっくり歩くことすらしていないなあ、などと思いつつ、鹿せんべいをもらう鹿の横を通りすぎながら、来る師走のことを思い浮べた次第です。

 

冬将軍、木枯らし一号、これからの季節は、ある日突然冬が来るのでしょう。
今月もどうぞよろしくお願いいたします。