2020.11

  • まもなく師走です

     

     

    東博の銀杏の大樹

     

     

    大樹の下にて

     

     

    今、街路樹の桜の葉の紅葉がたまらなく美しいです。
    落葉になり梢に残る葉の、あの作り出せない赤々とした色彩の移行と明るさのグラデーションに思わず眼を見張ります。
    写真は一昨日の午前中に足を運んだ、上野の東博で見た銀杏です。明日29日(日)までの特別展「桃山天下人の100年」をぎりぎり間に合い観てまいりました。帰りぎわ、東博の門を出る手前の奥に、とても立派な銀杏の大樹があることに気付いて木の下まで行きました。幹周りがそうとうあり、樹齢どのくらいなのでしょう。黄色の木蔭は明るくて暖かで、大樹に守られているようで、ここで本でも読んで一日過ごせたらなあと思いつつ、銀杏の落葉をすこし拾いました。

    展覧会へは久しぶりに長谷川等伯の「松林図屏風」がとても観たくなり出かけたのですが、もしも「何かおひとつどうぞ」などと空想するなら、桃山の黄瀬戸立鼓花入 銘 旅枕を包んでいただこう、とか、織部黒沓茶碗 銘 捨小舟も好いし、などと、すこぶる気ままな思いで展覧会を観てまわりました。

     

    まもなく師走がやってまいります。

     

     

     

  • 九博「織物に魅せられて 加賀前田家伝来の名物裂」のお知らせ

     

     

    織物に魅せられて 
    加賀前田家伝来の名物裂

     

    九州国立博物館開館15周年記念 特集展示

     

    織物に魅せられて
    加賀前田家伝来の名物裂
    TREASURES FROM THE TEAROOM
    PRIZED TEXTILES OF THE MAEDA CLAN

     

    2020年12月1日(火)~2021年1月24日(日)
    *前期後期あります

     

    会場・九州国立博物館開館 4階 文化交流展示室

     

     

    九博にて素晴らしい名物裂の数々が特集展示されます。
    6月9日~8月2日の開催予定だったものが期間が変更になりました。特別展ではなく平常展の中の特集展示になる形ですので、入館予約は無いようですが、今後の状況もあるかと思いますので、入館に際しましてはご確認をされることをおすすめいたします。(休館日等も併せてご確認をおすすめいたします。)
    時間を忘れてしまいそうな、ため息の特集展示と思います。

     

     

     

  • 年内の展示会につきまして

     

     

    白地草花文ヨーロッパ更紗 19世紀

     

    展示会に関するお問い合わせを頂いておりまして、誠にありがとうございます。
    お知らせが遅くなり申し訳ございません。古裂古美術 蓮の年内の展示会は、今年はございません。楽しみにしていて下さいました皆様には、大変申し訳ございません。現在のところ未定ではございますが、今後も味わい深い古裂と魅力的な断片裂等をご紹介させていただく展示会「裂のほとり」展を、ぜひまた開催させていただきたいと思っております。十一月も後半に向かい、今年もあとひと月と少しとなりましたが、毎月古裂の仕入れに努めておりますので、商品に関しまして、また、気になる裂がございましたら、どうぞお気軽にお問合せ下さいませ。愉しい裂を探してご紹介させていただきたいと思います。

     

    なお、当店は完全ご予約制とさせていただいております。御来店のご予約につきましてもお気軽にお問合わせ下さいませ。
    どうぞよろしくお願い申し上げます。

     

     

     

  • 秋晴れの続く日

     

     

    昭和の古いビルの二階に蓮の店はあります。

     

    東京は昨日今日と、ぬけるように蒼く澄みきった空の秋晴れでした。
    写真は昨日、店の前から空を見上げたときのものです。昭和の古いビルで、蓮の店の上の階の部分には、ちょっとしたお城みたいな可愛いバルコニーの造りが装飾されています。銀座は数寄屋橋交差点から泰明小学校寄りになると、昭和だった頃の雰囲気がまだ残されています。 昨年も一昨年も、冬が来る前にこの界隈にチンドン屋さんがやってきました。裂を解いていてチンドン屋さんのあのリズムが近づいたり遠のいたりして、気になって幼い頃のように表に出てみたりして。この辺りの細い路地を三人のチンドン屋さんは何回も巡っていました。冬が来る前のチンドン屋さんに今年も会いたいものです。

     

    店といえばですが、グーグルで蓮をひくと、閉店と表示されているとのお問い合わせを頂いたことがございました。それからは気が付いた時に時々自分でひいてみるのですが、お隣の古いビルに所在するお料理のお店が当店として写っていたこともございました。なぜそうなるのかは不明ですが、蓮は隠れ部屋のようなささやかな空間でいとなんでおります。二階です。

     

     

     

  • 霜月 十一月

     

     

    黄繻子地扇面に蔦文様小袖解き裂
    江戸時代 18世紀

     

    十一月になりました。
    今年もあと二か月とささやかれるようになり、街では早くもクリスマスツリーが見られるようになりました。東京では木の種類によっては美しい紅葉が始まっておりますが、周辺の街路樹や公園は、たいていまだ緑の葉の姿です。
    これから更に秋が深まると、なつかしい柊の花が白く小さく咲きはじめます。金木犀とそっくりの柊の花は、人に知られようともせずにひっそりと葉の陰に咲きます。その様子がひそやかで良くて、晩秋の頃は通る道すがら何となく柊の木がないかと思いながら歩きます。くちなしの花に少し似たよい香りがします。

     

    写真は色とりどりに紅葉した蔦が扇面をつたうように巡らされた文様の古裂です。蔦は伝うところからその名が付いたといいますが、今はそう出逢えなくなった雑木林を散策して、緋色に色付いたからすうりや高い木々をつたう蔦の紅葉などが見たいものだと、この古裂を整えている時にふと思いました。落ちつくした枯葉を踏む音や、その匂いも。
    今月もよろしくお願いいたします。