
今年の金木犀
十月も終わりに近づきました。
一昨日に、お蔭様で「裂のほとりⅫ -受け継がれてゆく古裂たち-」展を無事終了することができました。三日間、多くの方々にお越しいただきまして、心より御礼申し上げます。遠方からお運び下さり、また、初めて展示会に御来場下さいましたお客様、心から感謝申し上げます。今後も機会がございましたら、ぜひお運びいただけましたら嬉しく思います。古い裂を探す上で励みを頂きました。今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。
展示会準備のため、暫く店舗をお休みさせていただき、ご不便をおかけ致しまして大変申し訳ございません。月末は出張のため二日間店舗のお休みを頂戴いたしますが、十一月は通常営業になります。webサイトの営業日カレンダーをご参照いただき、どうぞぜひ御来店下さいませ。引き続き、味わい深い古裂を探してご紹介させていただきます。
今回で十二回目を迎えました展示会「裂のほとり」。
この度のタイトルを-受け継がれてゆく古裂たち-といたしましたことには、様々な想いがございました。ひとつには、近代の縞・格子織物の研究に於かれまして名高いH氏の蒐集された裂の一部を、今展で扱わせていただいたそのことも、気持ちの中に大きくございました。裂について厳しく追及して行かれるご姿勢と、縞・格子裂を愛してやまなかったH氏の、今では出てこないであろう大変希少で味わい深いそれらの裂の一部を今展に並べさせていただくということに、店を始めてから現在までの時間を振り返るような思いにさえなりました。長い時間が経ったというそのことを、深く感じ入りました。それにはこのような想いからになります。
蓮では、25周年記念の2018年に、二冊目の小さくてささやかな小冊子『25th Anniversary 裂のほとり』を編みました。その最後のページに、「私の原点」という章がございます。もしお手元にお持ちでしたら、よろしければページを開いてみて下さい。こちらに「コレクター」として記させていただいた方が、H氏になります。「裂をもっとよく見て勉強して下さい」と厳しく言われた三十数年前のまっすぐなお言葉は、今も変わらずH氏から言われている言葉のように思います。
H氏の蒐集された裂に限らず、今に伝え遺されてきた古裂たちは、みな大切に今に受け継がれてきたものたちです。今展で並んだ裂たちも、次の時代に受け継がれてゆくことをそっと願い、タイトルといたしました。皆様の手から、きっと先の時代へと繋がってゆくことと思います。
画像は昨日通った道に咲く、今年の金木犀です。
秋も深まりつつあり、次は柊の白い花が咲くのでしょう。
まもなく十一月になります。


