蓮の道草 #32

ことほぐ Ⅱ

お正月はお餅を食べて、氏神様にお参りして。
日なたの境内、へこんだ大鈴。
真白な破魔矢が清々しい。

空は蒼く、天には太陽。
今日はいつもよりゆっくり歩く。
荷物も持たない。
両手が軽い。
つめたい北風が空をもっと蒼くする。

太陽にことほぐ。
北風にことほぐ。
空の向こうにことほぐ。
草木にことほぐ。
鳥にことほぐ。
日々がめぐる。

元日は験をかついで糸を切らない、裂を解かない。
新たな年に、迎えた福神さまとのご縁までも切ったり解いたりしてしまう。
そんなふうに、思うのだ。
明日になったら裂を解こう。
白くて素敵な手ざわりの、お餅の色に似た麻の裂を。

月と金星があんなに近い。
夜だから鳥はいないのだけれど、
鳥って月があることを知っているのかなとか、
海に行く日をいつにしようとか、
散らかりすぎている部屋の中
探しものがみつからないとか、
月とクロスしそうに輝く金星を見上げながら思いをめぐらせ
ゆっくりゆっくりお酒を呑んだ。

新年になりました。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。
                                                                                                                               
2017年 初春に

古裂古美術 蓮
田部浩子