2018.5

  • 「柚木沙弥郎の染色 もようと色彩」展に行きました

     

    柚木沙弥郎の染色 もようと色彩 展


     
    東京・駒場の民藝館で開かれている「柚木沙弥郎の染色 もようと色彩」の展覧会を、少し前に観てきました。展示されている作品の多くが眼に気持ちに心地よく、民藝館の建物の中の空気と相まって、「模様」というものの楽しさをあらためて感じることができました。
     
    写真の着物は広間正面に展示されておりました。「型染むら雲三彩文着物」です。
    午前中早めで人もまばらだったので、この着物の前に少しの間いることができました。
    眺めているうちに、むら雲のもようとその空間とがかもしだすものに、山の稜線をみているような、海の水平線をみているような、何か自然に迎えられているような、そんな気分にさせられる、自然がここに在るようで、この素晴らしい作品にひたすら感激して帰ってきました。
    その日は雑木林の中を散歩したあとのような清々しい気分で一日を送りました。
    日本民藝館で6月24日までです。
     
     
     

  • 青花の会骨董祭2018の出展DMができました

     

    青花の会骨董祭2018出展のDM


     
    五月も後半になり、「青花の会骨董祭2018」が近づいてまいりました。
    「裂のほとり2 ― 暮らしを紡いだ古裂たち ―」のDMができあがりました。
     
    『絵巻や屏風などの絵画資料には、人びとの様々な装いをはじめとして、点景にみられる幕や家屋の中にのぞく簡素な垂布、道ゆく僧侶の衣、旅姿の装束や、美しく赤色に染められた馬の手綱など、多くの染織品、繊維品がみてとれます。庶民の世界、上流階層の生活、寺社、芸能、そして茶の湯。それぞれにおける生と人びとの暮らしを紡ぎ、今に伝えられた古裂たちは、古から続く日本の暮らしの記録そのものです。時代の糸と美しい色彩が織りなす染織分野、その入口を御覧いただけましたら幸いです。』(DMより)
    青花の会骨董祭2018にて、古から続いてきた日本のかたちと暮らし伝える「古裂」の愉しみ方を、少しでもご紹介させていただけましたら幸いです。
     
    蓮では掌にのるごく小さな断片裂を大切に考えます。本来大きな形状だった時代の染織品が、時を経て小さな姿となり、現代にまで伝え遺されてきたことは意味深く、数センチほどの断片の中に染織の美しさと世界が在ります。
    青花の会骨董祭2018に於きまして、よりよいコンディションで古裂を御覧いただけますよう、古裂を整えて楽しみに準備しております。6月もあと少しです。
     
     
     

  • 裂のほとり2 ー暮らしを紡いだ古裂たちー のこと

     
     

    青花の会骨董祭 2018


    3年前、散文「蓮の道草9」の『裁縫と“をさな”と“おとな”』vol.4の最後に、このように記したことがありました。「針と糸、縫い合わされた色とりどりの古い裂、草木からいづる深い色、人の暮らしと在りし歴史は美しいものに寄り添いながら、時間の粒子に運ばれてずっと遠くまで紡がれてゆく。古くから遺る形あるもの無いものが、どこまでも紡がれてゆきますように。」
     
    しだいに小さく姿を変えながらも、今の時代まで伝えられてきた古い染織品が、次の時代、その次の時代にも、もっと小さなかけらになったとしても、美しいものを宿したままに、日本に遺ってゆくことを願っております。ささやかですが、一生懸命あつめておりました古裂たちを御覧いただけましたら幸いです。「裂のほとり2 ―暮らしを紡いだ古裂たちー 」とタイトルし、青花の会骨董祭2018に出展させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
    出品させていただく古裂を、これから少しずつインスタグラムにご紹介させていただきます。
     
     
     

  • 皐月 五月

     

    衣裳修繕部分 江戸後期

    五月になりました。
    お天気に恵まれたゴールデンウィークの前半、気温は初夏の暑さとなりました。
    窓を大きく開けて、いろいろな作業をしております。この頃は何だか一週間の早さなどではなく、一日の時間の早さがとても加速しているような気がしてきました。六月はすぐにやってきそうです。
    五月は裂を整える作業の都合により、誠に申し訳ございませんが、お店をお休みさせていただきます。仕入れも出張も毎月と変わらず、ぱたぱたと移動しております。愉しい古裂と出逢えますように。
     
    木々の緑がいっそう濃くなってまいりました。たんぽぽは、すらりと伸びた茎に綿毛の姿で道路脇で風に揺れています。
    今月もどうぞよろしくお願いいたします。