とうとう今日は大晦日です。
皆様もきっとお忙しくお過ごしのことと思います。あともう数時間で年が明けます。遠くから聞こえてくる除夜の鐘に耳を澄ませて、ゆく年を静かに想いたいと思います。
こちらはいつも大晦日になると、箱から小さな鐘を取り出して棚に飾ります。年に一度だけ飾ることにしている、除夜の鐘のつもりの、ルリスタンの小さな鐘です。小人が叩くくらい小さなもので、舌が失われているので鳴らない鐘です。三角形のてっぺんには、何かわからない小さな動物がいるのです。 毎年その鐘の下には、無地の江戸期の裂を敷きます。今年の大晦日は、ごく浅い色をした、かめのぞきといいたいような、淡々とした藍色の麻の古裂にしました。何かそんな気分でした。小さな鏡餅に敷いた裏白は、乾燥してもうちりちりになっています。
カタカタ、コトコトと、何かをし続けているうちに、除夜の鐘の時になるかと思います。今年は思いがけない大変な一年となりましたが、この一年も皆様に支えていただき、古裂に向かう気持ちを支えに無事に一年を終えることができました。心より皆様に感謝申し上げます。本当にありがとうございました。また来年も素敵な古裂を探して御覧いただきたいと思っております。皆様どうぞよいお年をお迎え下さい。
*写真は今年最後の開店日でした28日のものです。月夜の銀座四丁目の交差点です。いつも渋めの裂にとりかけまれているので、このような景色はきらびやかすぎてまばゆいです。
凍てつくような月がきれいでした。