2021.4

  • 青葉の季節へ

     

     

     

    四月のケヤキ。

     

    この四月は思いのほかあわただしく過ごしてしまい、Diaryにアップしようと思っていた季節の写真が、すでに時遅しとなってしまいました。自分はともかくとして、季節の進む早さの早いこと、この間まで若芽だったケヤキの木も急に繁りはじめて、向こう側の建物が見えなくなってきました。いつも目にするこのケヤキの木は、ある時かなり枝先が伸びて、窓から葉っぱが触れたことがあります。夏の夜風に窓を開けてケヤキと握手、なかなか気分の良いことでした。
    仕入れ諸々に励んでおり、いろいろと更新が遅れてしまい申し訳ございません。四月も終わりがみえてきました。青葉の季節へと時は移ろいますが、再びの状況の中、どうぞ皆様もお気をつけてお過ごし下さい。

     

     

     

     

  • 久しぶりの「蓮の道草」です

     

     

    夏衣の肩衣 絹と麻(おそらく大麻) 
    江戸時代 19世紀

     

    久しぶりに「蓮の道草」をアップいたしました。
    数年前に東京品川の寺田倉庫G1ビルにて開催のヴィクトリア・アンド・アルバート博物館企画の「DAVID BOWIE is」展に行き、そのステージ衣装、コスチュームを見たとき、着用者本人の身体の線がなぞられている洋の衣服に、直線裁断の日本のきものの展示ではわかり得ない、着用者の生身の姿といったものがとても強くリアルに感じられました。それと同時に、桃山時代の辻が花のことが思い浮かばれました。戦国の世に、本人が着用したと伝えられる美しい辻が花の遺品の裂が表装に使われた、武将や武家の女性たちの肖像画のことが思いだされたためです。着用者と衣服との密接な関係は、寺院に寄進される奉納裂などにも象徴されますが、人と衣の関係についてはいつもどこか気になるものです。

     

    店で裂の作業をし終えて外に出ると、華やかなファッションがショーウィンドウに並んでいたりして、先程まで作業していた江戸期の古裂と同じ繊維の世界ながらも現代とのギャップを感じたり、また逆に洋服の存在をあらためて想ってみたりするのです。道草60です。

     

     

     

     

  • 卯月 四月

     

     

    浅葱綸子地文字文様奉納裂「風」部分 江戸時代
    「文化七 庚午年」の年記銘あり

     

    四月になりました。
    今年は桜の開花が早かったので、季節の進み具合が早いように感じます。もう少しコートを着ていたい気分なのですが、もう北風が吹くことはなく、風薫る季節へと時間は移ろうのでしょう。
    この春はまだ土筆を目にしておりません。先日遠方の友人から、ご自宅のお庭では今、土筆が真っ盛りとの土筆メールが届きました。「庭に土筆」は幼いころからの自分の夢で、その憧れの光景を暫し思い浮かべながら、珈琲を淹れてほっとひと息つきました。そして、もし海に行くにしても、土筆のお庭に足を延ばせたとしても、解きたい少しの古裂と和鋏をバッグに入れて出掛けそう。海風に吹かれつつ、波音を聞きつつ、草木からの色の古い裂を解けたら思いきり満足。そんなことが心によぎった次第です。

     

    自然界は草木たちがみるみる勢いをつけて芽吹いています。
    新年度になりました。
    今月もどうぞよろしくお願いいたします。