2024.7

  • 夏の到来

     

    白地麻布(大麻または苧麻)江戸末-明治時代
    White plain Asa(Hemp or Ramie)
    19th century Late Edo period-Meiji period

     

    例年よりも早く梅雨が明け、暑い夏の到来です。
    猛暑の折、皆様くれぐれも御自愛下さい。

     

    * * *

     

    今秋 東京・サントリー美術館では、「没後300年記念 英一蝶 -風流才子、浮き世を映す-」が開催されます。(2024年9月18日~11月10日迄)
    過去最大規模の回顧展だそうです。重文「布晒舞図」(展示期間10月16日~11月10日)を観るのが楽しみです。

     

    布晒、という言葉で、万葉集のあの歌が思い出されました。
    多摩川に さらす手作り さらさらに…
    以前「蓮の道草」に、この歌のことを記したことがありました。
    Instagramにその散文をアップいたしましたが、もしもとてもお暇な時がありましたら、よろしければ「蓮の道草12」を遡っていただき御笑覧下さいませ。

     

    万葉の時代に多摩川の清い流れで晒された麻織物は、どんなに素敵だったでしょう。
    古の遥か遠い時の中に在った川岸を想い、様々なことを想像するのです。

     

     

     

     

  • 文月 七月

     

     

    初めての【特集の日】7月5日(金)~7日(日)
    日本の型染めと絞り染め

     

    店内より

     

    七月になりました。
    この度 五日(金)~七日(日)まで店舗にておこないました、初めての【特集の日】を無事に終了することができました。期間中、大変な猛暑の中お越し下さいました皆様に、心から感謝を申し上げます。そしてInstagramを御覧下さいました皆様、どうもありがとうございました。
    通常当店は、藍地型染めと藍地絞り染めの古裂はそう多くないのですが、この度の機会では、ほぼ店内が藍染めの藍の色に染まり、涼しげな雰囲気となりました。小さな端裂の多かった今回ですが、通常と同様に絹以外の木綿地では、洗うとおそらく表面の糸味が変わってしまうだろうと思えるもの以外は全て手洗いをしております。五月頃からその準備をしており、「ずっとあらいぐまだったのですが、やっと人に戻りました」と言ってお客様方と笑い合いました。

     

    木綿の絞り染めの裂は、洗うと括られた文様部分のしぼが蘇ってくるものがあります。平面の地に立体感が出てきて可愛らしさが増すようです。そのしぼをつぶさないように、しぼを避けてアイロンをかけます。裂に関わる仕事は大変手間がかかるのですが、手をかけるだけ裂の本来の良さが戻ってくるので、やはりそうした裂の表情が見たいわけです。御来店いただいたお客様とご一緒に、絞り染めの専門書をめくって技法を確認したり、糸味がふわふわになった手触りのやわらかな江戸期の木綿地型染の裂で、ご持参されたぐい呑みをくるむ、その寸法を確認させていただいたりなど、大変楽しい三日間を過ごさせていただきました。丁度七夕にかかる期間でしたので、店内に背の高い笹を飾ったこともうれしい出来事となりました。今回ご好評を頂いた【特集の日】を、ささやかな形でも、今後も考えてまいりたいと思っております。皆様のお気持ちのどこかに、ささやかに楽しみに思っていていただけましたら幸いです。

     

    はじめての【特集の日】が終了し、これから通常営業に戻ります。
    猛暑が続いておりますので、どうぞ皆様もお気をつけてお過ごし下さい。
    今月もどうぞよろしくお願いいたします。