
絹紅地豆絞り文様風呂敷裏(表/紫縮緬)
江戸時代 19世紀
二月が終わろうとしています。
冷え込みの厳しい節分の頃とは大気の様子がだいぶ異なり、今はもう春の鼓動が感じられるようになりました。朝の日の光は力が漲ってきましたし、足元の草々はまだごく小さくとも、その葉をぴんと空に向けて立ち上げています。冬のたんぽぽなどが特にそうで、ロゼット状の葉を土に張り付けながら、春の訪れを知って背丈を伸ばそうと勢いをつけているようです。自然界の草木たちはこれから芽吹きの季節を迎え、一雨ごとに枝葉を伸ばしてゆくでしょう。
新年の賑わいの一月と、桜の花開便りが届く三月という花の季節のはざまで、しんと鎮まりかえっているような雰囲気を持つ二月の空気感がとても好きで、節分の柊もまだそのままに、この月を愉しんでおりました。
凍てつく二月の夜の、あの澄んだ空気に見る夜空の星々、町内会の夜更けの火の用心の声と拍子木の音の響き、北風が辺りを吹きつける音、暫く出かけていない海のこと…。いつも二月になると記憶を辿る、もうとうに消えてしまった逗子のなぎさホテルの昭和の建物の好ましさを思い出したりして、この二月は心遊ぶというのか、心が凪ぐというのか、店で古裂にアイロンをあてながら、様々な場所や時間に想いを馳せました。来年またこの月が巡ってくることを、心のどこかに置きながら、春夏秋冬、その時々の季節を普段の暮らしの中でささやかに愉しむことが出来れば幸せなことと思います。…とりとめのないことを綴りました。
今月も御来店、お問合せを頂きまして、誠にありがとうございました。
裂の手入れもこつこつ進めております。二月の時間の中に心地よく(ばたばたと)埋もれていて、すっかりInstagramがお留守になってしまいました。引き続き今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。
まもなく三月がやってまいります。もう、ひなの季節です。